その要件、誰が書いたんですか? 〜フリーランスが出会った”伝説の募集”と、地雷案件の見分け方〜

AI活用術

フリーランスの日課

フリーランスには日課があります。スキルマッチングサービスの案件チェック。求人票を眺めながら、自分のスキルと市場の需要を照らし合わせる。地味だが、欠かせない情報収集です。

ある日、目を疑うような募集に出会いました。

要求がエンタープライズ級

要求スキルを読み進めるうちに、違和感が確信に変わった。「これ、チームで1年かけてやる仕事では?」と。

複数のマーケティングツール、CRM、BIツールを横断的に扱い、ABMを立ち上げ、安定運用まで持っていく。どれか一つでも専門家が必要な領域だ。それを一人に求めている。

スケジュールがファンタジー級

立ち上げから安定運用まで3〜6ヶ月、週16時間。チームで取り組んでも綱渡りになる工程を、この稼働時間で完結させろという。現実と要件の間に、深くて広い川が流れていた。

スコープのずれがコント級

「個人ユーザー単位で分析してメールマーケティング」。それはABM(アカウントベースドマーケティング)ではなく、MA(マーケティングオートメーション)の話だ。二つの概念が、募集要項の中で静かに混在していた。まるで、すれ違いを誰も気づかないまま進行するコントのように。

そして最大のオチ。委託元の社名を見て、思わず画面を二度見した。それは、専門家と企業をつなぐことを生業とする、マッチングサービスの運営会社だった。

笑えない教訓

笑い話で終わらせてもいいが、この募集には教訓が詰まっている。

企業がABMとMAの違いを理解しないまま要件を書くと、こういう「混乱した募集」が生まれる。予算と要求スキルが一致していない案件は、受注しても必ず破綻する。内製すべき領域を外注しようとすれば、要件定義の段階で既にズレが生じる。そして「自社サービスを自社で使いこなせていない企業」は、思いのほか多い。

地雷は、踏む前に見抜く

フリーランスにとって、案件の危険予知は重要なファンダメンタルズです。地雷は踏んでから気づくのではなく、踏む前に見抜く。商売は地雷原をかわしながら進むものだと、この募集が改めて教えてくれました。

ちなみに、AIツールを日常的に活用しているなら、自分の”スキルセット”と”応募を忌避すべき内容”を「パーソナライズ情報」として登録しておくことをお勧めします。ミスマッチな案件を弾くフィルターとして、地味に効きます。

地雷案件は、笑いながら距離を置くのが正解です。

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